世界一美しい鞄を創る⑦ 限界まで軽量化を考える
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さて、中国大連で作ったアルミフレームのサンプル。
大連空港でビールを飲みながら、どうやったら軽量化ができるか、
まるで人生に思い詰めた人のように、視線をアルミフレームから外さず約30分。。
その間、4人の外国人に尋ねられたこと。
「What is this? case? bag? I`ve never seem like this. 」
(これはナンデスか? ケースですか? バッグですか? ミタコトアリマセン。」
そうだろう、そうだろう。
僕だって見たこと無いもん。
(とりあえず、注目されることは分かったが、それよりも手に持ってもらえることを考えないと。。 軽量化だ。)
2.5kgのモノを1kg以下にするには単純に50%以上、さらにドコかを削らなければならない。
そもそもそんなこと可能なんだろうか。。。
大連から帰国後、図面を書いてくれたE金属の田沼さんのところへ現物を持って訪ねます。
私「これこれこういうわけで、一応図面通りのものは出来上がったんですが、とにかく重いんですよ。これに革を張って内装を付けたらゆうに4kg弱になりそうなんですよ。
なので、現状の形のまま、薄く出来るところは極限まで薄くしたいんです。」
完成品の鞄の目標重量は2,000g以下。
まず、鞄のフチの部分(一般的な鞄で言うマチの部分)の厚みが5mmもあったので、
それを思い切って1mmにしてCAD図面化してみる。
それを一部分のみ3Dプリンタで出力し、実際の厚みを手で触って感触を確かめてみることに。
出来上がった3Dプリンタの部分サンプルを触ってみると、もう紙のように薄い。
「おお、いいんじゃない!?」と触っていたら、
すぐに割れた。
これ、仮にアルミで切削したとしても、何かの衝撃があれば割れるか、凹むよな。。。
色々と検証した結果。
5mmのフチはどうやっても3mmまでしか削り込めない。
さらに、鞄の表裏が一番大きな面積なので、その部分をなんとかしたい。
そこで、その面積部分の内側にリブ(格子状の骨組みのような形)を作り、リブに囲まれた箇所を極限まで薄くしてみる。
リブがあるので、割れたりはしないはず。
その他、細かな部分を出来る範囲で少しでも薄くし、図面を引き直した。
それを再度中国に送り、更に2週間後、再び大連に。
(・・・・タクシー、まーた英語が通じねぇ。)
大連のその工場で作ってもらった
セカンドサンプルは、確かに軽くなっていた。
フレーム自体の合成も、いろいろな方向に手で曲げてみてもしなりもしない。
しかし、未だその重量
1.6kg。 1,600g。
少し不満は残るが、切削ではこれが限界かも知れない。
展示会までの時間がもう無いので、5つのセカンドサンプルを持って帰国することに。
あと、600g。 たかだか600g。
なんとかならないだろうか。。
まさに、計量前のボクサーのような気分だった。
それは、
自宅のテーブルの上に出来上がったアルミフレームのセカンドサンプルを置いて、
その上に東急ハンズで買ってきた革を合わせて完成スタイルをイメージしていた時。
ん?
ん?
革をかぶせる部分(鞄の表面の一番面積が大きいところ)は、
革を貼ったら外から見えないじゃないか。。
そうだよ。
見えないよ!
開けられるだけ、穴を開けよう!
そうすれば、もしかしたら600gだったら開けられるかもしれない。
で、どうやって開けるか?
流石に金属のDIYじゃ無理だろう・・・・。
町工場に頼んだら、また図面だなんだかんだと時間ばっかりかかることは
目に見えている。
そうだ。
どっかの工場で、穴を開ける機械を貸してくれないだろうか。。。
いや、無理を言ってでも使わせてもらおう!
(ちなみに、この時点ではTech shopなどの共同加工場は開業していません)
Google先生で聞いてみる。
が、あったりまえかもしれないが、
金属加工ド素人に大事な機械を貸してくれるところなんて、ありゃしない。
でも、それしか無い。
探しに探して、寿々つなぎのようなネットサーフィンをしていると、
とあるページにたどり着いた。
メタルDIY
なんと、横浜にある精密金属加工の工場が、一部の工作機械を平日の18時以降であれば、1時間あたり2,000円で貸してくれるとのこと。
もちろん、そこには「ボール盤」と言われる金属に穴を開ける機械が3つもある。
メタルDIYのHPより引用
キター(^o^)
私にとってはメタルスライムよりありがたい。
早速メールで加工内容を記載し問い合わせしてみると、
その工場の社長からとても親切な返信が帰ってきた。
僕の鞄の場合、軽量化のために大きな穴をいくつも開ける必要があるが、
一般的なその工場には直径10mmくらいまでのドリルしか無いそうだが、
僕の希望する40mmの穴を開けるには「こんなドリルが必要だよ」とわざわざAmazonのページのURLを添付して送ってきてくれた。
早速アマゾンでそのドリルを購入し、メタルDIYへ。
が主催するワークショップのようなスペースである。
笑顔で迎えてくれた杉田社長は大柄な体格にもかかわらず笑顔が可愛いおじさんです。
セカンドサンプルを彼に見せ、希望する加工内容を伝えたところ、
「うわぁ、すごいですね。本当は我々みたいな金属加工屋がこういったことを企画しなきゃいけないんですけど、出来ないんですよね。。
いやぁ、しかし凄い。考えることは出来ても
実際に削りだしで作ってしまうことが凄い!」
あはは。。ここまで大変だったんですけどね。。。。ほんとに。。
そして、今節丁寧に、ボール盤の使い方を1から教えてくれました。
もともと手先は器用な方なので、すぐに使い方を覚え、すくすく穴を開けていきます。
そして穴だらけのフレームが出来上がりました。
それがこちら。
なんか、ゼロ戦のフレームみたいになりました(笑)
実際の製品版は下の写真。(更に軽量化しています。)
素材を97%近く削っちゃいました。
削りカスはリサイクルです。
え?
そんなにまでして削りだしにこだわるのかって?
はい。
削り出すことによって、フレームに一切のつなぎ目がなくなり、ネジやリベットも必要無くなるんですよ。
さらに、一体型のシェルなので、薄くて軽いのに、合成が高いのです。
この時すでに1月下旬近く。
間に合うのか?
やれんのか?
完成品はこちら
世界一美しい鞄を創る⑧へつづく
*1:上の写真はリブの間にウレタンを敷き詰めたところ
世界一美しい鞄を創る⑥ 四面楚歌。そして大連への道。
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さて、ロックノブ、ロックプレートのロック機構。
ハンドルのデザインもほぼ出来上がってきたところで、だんだん完成の目処が出てきた。
前回までの記事はこちら
モノづくりにはゴールが無い。
そこで、ゴールを定めるために、2016年4月に開催される展示会に出展することにした。
このままだと、無駄な時間だけが無意味に過ぎていく可能性もある。
なんとか、そこまでに間に合わせて完成させ、関係者の感触を確かめたい。
(※本来なら展示会には完成製品を出品するのだか、この時点でサンプル出品がやっとのスケジュールなので、今回はサンプル出品し、その後の感触で量産を決めようと思いました。)
さて、2015年10月も半ば、
数ヶ月、何度も繰り返し修正を加えてきた鞄のフレーム本体のCAD図面が上がってきた。
これがあればもう工場に断られることもないだろう。
で、ドコに依頼するか。。。
アルミの削りだしを行うので、金属の切削工場に依頼するのは良いとして、
いろいろ切削方法を調べてみると「マシニングセンタ」という切削機械で削りだしを行うことが分かった。ただ、そのマシニングセンタの作業テーブルの大きさによって、私の鞄が切削できるかどうかが違ってくる。
ただ、ネットで調べてもそこまで記載しているHPはないので、とりあえず
「関東 金属加工 アルミ 切削」で検索をかけてみると、そんなに多くはないがヒットする。
その工場に1軒1軒電話連絡をして、鞄のフレームを切削してもらえることが可能か確認をしてみることに。
結論としては、1/3がお断り。
残りの2/3がまずは図面を送ってほしいとのこと。
メールにて完成したCAD図面を添付して送信したところ、
その後、その全てがメールにて断ってきた。。
・・・・・。
おーい。
一体どうなっているんだ。
明確な理由も書いてなく一様に
「残念ながら弊社では請負かねる案件です。」
のようなことが書いてあるのみ。。
全く意味がわからず、
事前の電話連絡時に一番感じの良かった会社に電話をかけて見る。
私「やはり難しいんでしょうか?」
営業「そうですね。いろいろ現場と話してみたんですが、ちょっと厳しいとのことです。」
私「ぶっちゃけ、他の工場さんにもバックアップで同時に聞いていたのですが、実は全部お断りされてしまったんです。」
営業「そうですか・・・・。」
私「このまま他の工場を探して同じ回答をもらってもラチが開かないので、差し支えのない範囲で、具体的にはどういった理由で出来ないのか教えていただけますでしょうか?」
営業「そうですね、正直に申し上げますと、出来なくはないんです。
どちらかというと、やりたくないといったほうが良いでしょうか。。」
(やりたくない・・・だと?)
私「・・・加工自体が難しいんでしょうか?」
営業「角度が様々な方向からついているので、実際難しいというのもあります。
5軸のマシニングセンタならまだしも、3軸のマシニングセンタだと、段取りが厳しいんです。」
(※作業テーブルがx,y,z軸に、つまり左右前後に動く3軸タイプと、それ加えて斜めに動く5軸タイプがあります。)
「それに、この図面を見る限り、一番薄い底の部分が0.8mmですよね。そうすると、何日もかけて切削して、やっと底面部分を0.8mm残して切削している時に、万が一機械の動作や金属自体の疲労で底面にひびが入ってしまうこともあると思うんです。
そうすると、それはこちら側の責任になってしまうので、どうしてもリスクを考えるとお断りせざるを得ないんです。」
私「・・・・。」
ただでさえ重たい金属。
その中でも軽いアルミニウム。
鞄が故、すこしでも軽いほうが良かろう、と思って図面を書いてもらうときに
薄く出来るところは極限まで薄くしてもらったのだ。
アダとなった。
0.8mmの部分が3mmあればイケるとのことだが、それはダメだ。
重たくて鞄として使い物にならない。
結局、関東地方の切削工場は諦め、対象を全国に広げて工場の検索をし、
前回と同様に電話連絡、その後メールにて図面を送るという作業を繰り返した。
結果として、約60前後の工場に送り、
見積をくれたのが たったの7社。
その他は、お約束のお断りメール。
ひどいところは返信もなし。。。
どうなっているんだ。
どうなっているんだ!
作れない。作れない。これじゃぁ、作れねぇじゃん。。
俺のカバン、作ってくれるところがねぇじゃん。。
そして見積をくれた7社のうち、一番高かったのは
73万円。
これはいわゆる「お断り見積」だろう。
んなもん、
こっちからお断りだよ!
残りは概ね35万円〜45万円。
それも、「一部の形状を◯◯の用に変更していただいてのお見積です。」だと。
デザイナーを舐めてんのか?
おっ?
でも、
展示会用には恐らく8個くらいは必要だろう。
さらに、2個くらいを余裕見ても10個。
フレームだけで400万円もかかってしまうよ。。。
高すぎるよ。。。
たかすぎるよ。/
タカスクリニックヨ。
日本では作ってくれるところが無い。
今回はメイド・イン・ジャパンで作ることを前提にしていたが、
製品版はまだしも、サンプルにそんな大金はかけられない。
CHINA
中国
サンプルの切削は中国でやったらどうだろう。
流石に日本ほど高く無いハズである。
仮に中国で出来たとしたら。。。。
それを日本の工場に持っていって、
「中国で出来たので、日本で出来ないわけがないでしょ!」
とでも言ってみようか。
さて、落胆した気持ちを入れ替えて、中国の工場を探してみる。
「中国 金属 アルミ 切削 工場 安」
検索ワードではなるべく漢字で検索をかけるが
どれも、どこか間違った日本語の中国切削工場のHPがいくつかヒットする。
「あなた希望する加エ(←カタカナのエ) できたら嬉しい。」
それは、僕も嬉しい。
少々不安だが、まずはその中でも一番マトモそうな、尚且つ日本企業とたくさんの取引をしていそうな大連の工場にメールで連絡をしてみる。
すると、すぐにレスポンスがあった。
日本語である。少したどたどしいが、れっきとした日本語である。
さらに図面などのやり取りも含めて細部を確認しあい、見積が添付されてきた。
15万円。
日本の半額以下ではないか。
これはあり?
早速発注書を送ります。
代金は現地で製品を確認後にその場で支払うことに。
さて、それから約3週間、
羽田発の飛行機に乗って初の大連に単身向かいました。
大連空港からはタクシーに乗ります。
「(英語で)(HPの住所のコピーをみせて)ここにお願いします。」
「◯☓△%&$#9|#”」
やはり、英語が通じない。
携帯のメールにあった住所を見せようと思い、携帯のGmailを立ち上げると。。。
はい、Gmailが通じない。中国Google、LINE、FBダメね。
口と耳をもがれた気分だ。
こんな時のために、中国語で住所を控えてきてよかった。
車窓からは、路上で立ち小便をしている大人をたくさん見かけた。
おっそろしい国だ。
住所を見せたにもかかわらず、この運転手、途中道行く人に4回くらい道を確認しながら約40分の道中を経て、目当ての工場にたどり着きました。
担当者「はじめましてハシモトさん。。私は王と言います。
サンプルは出来ていますよ。チョト マテテください。」
担当の王さんがしばらくして持ってきてくれたファーストサンプルがこちら。
※写真の場所は工場じゃありません。
かっこいい。。かも。。
しかし。
しかし。
重たい。
重さを計ってみると2.5kgもある。
うぅ。。。
もともとは、このようなアルミニウムのインゴットが材料になる。
この時、約重さは36kg。持つだけでもしんどい。
それをマシニングセンタ(切削機械)で約3日間ぶっ通しで削る。
下の写真は約1/3程、削り終わったところ。
これをどうやって、半分以下の重さにするのだろうか。。。
この時すでに12月も半ば。。
間に合うのか?
完成品はこちら
世界一美しい鞄を創る⑦ へつづく
世界一美しい鞄を創る⑤ デザインの神が降りた
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前回までのロック機構から脱却して新しい機構を考えなくてはならなくなった。
前回までの記事はこちら
わかっていることは、
ボリュームノブのようなモノを回すことによって、フタが開閉する機構を考えること。
その際、人差し指の鍵のようなものが左右からニョキッと出て来るのはダサいのでNG。
さて、どうしたものか。
来る日も来る日も、右手をパチンコのハンドルを握るような形にして、手をくるくる回し機構をイメージしますが、どうしても人差し指の鍵がニョキッと出て来る仕組み以外、出てこない。
ここで一旦考えをゼロにしてみよう。
無。
ノブは円柱。
無・・・・・。
鍵以外・・・・。
いや、鍵というワードは考えちゃダメだ。
無。
ムム?
ムム?
ロックノブと繋がった円盤みたいなものが一緒にシンクロして回って、
反対側にある何かをキャッチして・・・。
ひらめきました。
当時のスケッチです。
スケッチを書いてE金属の田沼さんに図面化してもらいます。
初期の図面から数回改良を重ね、試作を重ね、出来たのがこいつです。
これは試作で、ロックプレートの裏側の写真です。
これを実際ロックが可動するのか、回した感はあるのか、確認するために
台座を作ります。
真ん中の穴に先程のプレートの芯を入れます。
上の写真ではわかりにくいのですが、穴の下に小さな鉄球が見えます。
このボールのしたにはバネが内蔵されていて、ボールは指で押すとボールはバネの伸縮で凹み、また上に戻ってきます。
これをプレートに引っ掛けることによって、ノブを回した感と開閉のオン・オフ感が出ます。
そして、プレートの表側の溝にフタ側に取り付けた超小型ベアリングが入り込み、
ロックされる仕組みです。
組み上げるとこんな感じになります。
回した感、最高!
たまらなく最高。
その日、踊る思いでこの試作を鞄に一人居酒屋で祝杯。
ビール片手に右手でノブを左右にカチャカチャ。
完全に電波系です。
で、製品版がこちら。
黒のアルマイト処理をし、表面にシルク印刷をし、そして周囲にダイヤモンドカットを施します。少しでも軽量化のために5つの穴を開けました。
本来は裏方のパーツですが、それも美しく。
イエイ!
完成した製品はこちら。
世界一美しい鞄を創る⑥へつづく。
世界一美しい鞄を創る④ ロック機構の迷走
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さて、図面作製の間に、肝心なロック機構を考えてみよう。
これがないと鞄は閉まらない。
高級オーディオのVolumeノブのような、ビジュアル面だけを先に考えてしまっていて、肝心の開閉の仕組みを全く考えていない。
おしゃれに着飾った知識ゼロのノータリン。
単純に『円柱が回るから、内側に鍵みたいなものを付けて、回して反対側に引っ掛ける感じ』くらいにしか考えていなかった。
イメージすると、右手の人差指の第一第二関節を曲げて、手首をくるっと回すようなイメージです。
円柱型のノブの動きからして、基本的にそれ位のものだろうと。
ただ、これも機械設計になるので、どうせ「図面」が必要になる。
加工方法は。。。。板金かな?
さっそくGoogle先生に「関東 板金 精密 試作」等で検索してみます。
幾つかヒットする中から、比較的近い横浜の港北地区にある板金工場に連絡をして
とりあえず数日後にアポを取ります。
その工場へは車で1時間弱で行くことができました。
受付で名を告げて、ご担当者をお待ちします。
しばらくして専務という方と企画長?というような肩書の方が机の向かいに座りました。
私「はじめまして。実は◯◯◯◯(中略:アルミ製フレームの鞄の概要を話します)
それで、鞄に取り付けるロック機構の設計をお願いしたいのですが、業務の範疇でしょうか?」
工場「まぁ、大丈夫だと思います。ただ、ゼロからの構想設計ですので、少し時間はかかると思います。」
??
(・・・・たかだか左右に回転する鍵のシステムの設計にそんなにかかるのだろうか?)
私「なる早でやっていただけると助かります。別のところで図面をお願いしていまして、最終的にはその図面にガッチャンコさせていのです。
それで、1つリクエストがあって、ノブを回したときに、何ていうんでしょうか、すこし抵抗感を出すというか、ただクルクル回るのでは開閉感が無いと思うんですよ。そこの方法論はまだわからないのですが。。」
工場「そうですね、分かりました。少しお時間をください。」
とりあえず、今日のところはOkayかな・・・?
秋葉原の秋月電子で購入した見本となる「ロータリーエンコーダ」と安物のボリュームノブを渡して帰りました。
その後、担当者とメールのやり取りをするも、遅い遅い。
ほんっっっとに遅い(怒)。
忙しいのは十分わかるんだけど、メールの返信が平均3日後というのは、
このご時世では遅すぎやしませんかね?◯◯さん。
そんなこんなで、
「試作が出来ました」と連絡があったのは、最初に訪れた日から約75日後。
(ちなみにそこの工場のHPには「最短解決」というワードがありました。)
さて、それはそれとして、ようやく出来たロック機構の試作の確認に胸を踊らせながら車のハンドルを握ります。
そして、テーブルに出てきたのがこちら。
ロックノブが回ると、下の針金のようなもの抵抗して「回した感」が出るらしい。
いわゆる「線バネ」と業界では言うらしいのですが・・・。
抵抗感が全くありません。
逆に、針金のこすれる感が不快です。
私「これ、線バネという着眼点はとてもいいと思うんですが、ちょっと感覚がイマイチなんですよね。。もう少しなんとかなりませんかね?」
工場「う〜ん、私もそう思っていたんですよね。。」
思ってこれかい!
私「この針金を別の形状のものに変更できますか?
それと、なんというか、オン・オフを感じるような『引っかかり感』というのがあるともっと嬉しいのですが。。たとえば、『ポッチ』のような引っ掛かりをつけるとか。。」
ということで、作り直しになりました。
試作2号機がこちら。
針金のこすれる感がまだ不快です。
そこから更に一ヶ月後、
「再度改良版の試作が出来ました」との連絡で再度来訪。
その試作がこちら。
先月の針金の部分が薄いプレートになっています。
更にオン・オフの引っかかりをだすポッチが!
私「おぉ、なかなかいいじゃないですか!」
工場「考えましたよぉ〜(笑)」
実際にはこれらの小部品は四角のアルミ製ボックスに収めるて、鞄の内側にくっつけるらしい。
ノブを回した感じは、、、、(まぁ、悪くはない程度。)
ただ、実際に出来上がったものを何度も回して触って、鞄に取り付けたときのアングルや意匠的なものをイメージすると、、、
鍵の部分が鞄の下からニョキッと出てきてロックする。鞄が空いている状態でノブを回すと、鍵がニョキッと回転して出て来る。。。
ダサいくね?
いや、完全にダサい。ノブのビジュアル的なアイディアは斬新でも、肝心の機構自体が100年前の考え方だ。
これは、機構そのものを再考しなければならない。。。
ゼロから考えなければ。。。。
という焦燥感と同時にテーブルの上に見積が。。。。
(1)ロック機構 設計費 ¥240,000
(2)ロック機構 試作 2個 ¥278,000
合計(税込み)¥559,440 !
私「うぅ・・・・・・」
モノづくりを始めようと思う皆さん。
試作をお願いする前に、可能であれば、ざっくりとした金額のイメージをいただくか、
予算をお伝えしましょう。
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世界一美しい鞄を創る⑤へつづく。
世界一美しい鞄を創る③ ハンドルの造形
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さて、三次元測定をしてCAD図面化という思わぬ情報をいただいてから3日後、
E金属という会社を訪れます。
受付で
「橋本と申します。13時に営業の田沼さんとお約束させていただいております。」
3階の会議室へ通され、暫し待ちます。
少しすすると、田沼さんが現れました。50代前半の気の良さそうなおじちゃんです。
電話でアポをとった経緯話しながら、持ち込んだ鞄の紙モックアップを机の上に広げます。
私「と言う訳で、このモックを三次元測定してCAD図面化することはできますか?」
田沼「(モックをしげしけと見ながら)・・・・」
私「難しそうですか?」
田沼「いえ、というより、このモックは手作りなので三次元測定しても、かなり修正が必要だと思います。いっそのことゼロベースで書いたほうが早いと思います。」
私「・・・誰がですか?」
田沼「・・・私がです。」
うっそ!
私「あれ、田沼さんって営業の方なんじゃないんですか?」
田沼「基本的には営業ですが、これくらいでしたら3D CADで描けると思いますよ」
ほんとかい!
たどり着きました。
とりあえず紙のモックを田沼さんに渡して数日後に連絡をいただくことになりました。
図面の問題はひとまず解決。
同時に
次はハンドルのデザインです。
ひとえにハンドルと言ってもいろんな種類はあるのですが、
概ねブリーフケースのハンドルデザインは似たり寄ったりです。
プラスチック成型だったり、革を巻いたものだったり。。
これにもこだわりたい。ハンドルも鞄の顔の1つでないかと考えます。
で、考えます。
これが、なかなかグッドなアイディアが浮かばないので、
とりあえず、東急ハンズに行って、紙粘土を20個程買ってきました。
これは、成人男性の手の握り型を採るためです。
実際に握る形を視覚的に理解すれば、その形状のベースも自ずと決まってくるのではないかと思ってのことです。
そこで、成人男性 約50人の握り型を取って、先日のE金属にて三次元測定をしました。そこでそれそれの重なり合う点を平均基準点として1つの握り型のデータを作りました。
さて、それにデザインを施します。
鞄はアルミのフレームに本皮を貼っていきます。
ハンドルも意匠的にそれをなぞっていったほうが良いのはわかっています。
いくつかデッサンを描いて、ベースを工作していきます。
コルクに巻いた革の上に、フィン状の金属をかぶせます。
この形が成人男性の握り型をモチーフにしたものです。
そして、最終的に完成したものがこちら。
上の写真はサンプル版。ネジ穴が空いています。
形状を更に美しくデザインします。
これもアルミのブロックから削りだしです。
上の写真は製品版。さらにスリットが深くなり、美しく交差しています。
我ながら美しく機能的に、そして独創的な形が生まれました。
これもアルミ削りだしです。
パズルのピースが埋まってきました。
残るは大物は
・ロック機構の構築
・革
・アルミ削り出し加工
というところでしょうか?
全てはE金属の田沼さんの図面マチ。。。。。
世界一美しい鞄を創る④ へ続く
世界一美しい鞄を創る② 死闘 3D CAD図面
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前回はアルミフレームで鞄を作るため、大田区産業プラザ Pioの紹介で2つの町工場に向かうまでを書きました。
最初に訪れた◯◯金属、そして◯◯ケース、僕が書いたイラストを見せました。
どちらも加工場の横に小さな事務所がある町工場です。
私「(挨拶中略)実はこういうモノを加工していただきたいんですが。。」
工場「・・・・これは鞄? 。」
私「はい、フレームの部分がアルミで出来ているんですよ。」
工場「板金で作るの?」
私「ば、板金? (いかん、製造方法をよく理解していないぞ。。)
・・・、まだ確定はしていないのですが、そのあたりも含めて勉強不足なので教えていただけると助かるのですが。」
工場「とにかく、うちでは無理だね。こんなのやったことねぇからさ。
だけどさ、イラストでイメージは解ったけど、図面はあるの?」
私「図面ですか? 要するにこのイラストのそれぞれのところに寸法が入ってれば良いんでしょうか?」
工場「いや。CAD図面。工場はCAD図面がないと作れないよ。」
私「(CAD図面?)・・・・ですよね。。。出直してきます。」
判を押したように、2つの工場の返答は同じです。
まるで競馬で大負けしたような姿勢でバス停に向かいました。
今回のことで、分かったことが3つ。
①単にアルミでフレームを作ると言ってもその方法を決めなければ、そもそも加工工場が違ってくる。金属、特にアルミの加工では「板金」と「鋳造(鍛造)」と「削りだし」がある。
「板金」はアルミの板を手や機械で曲げて形を作り、接合面はネジやリベットで留める。費用は比較的安めだが、個体差が若干生じる。
「鋳造(鍛造)」は、石膏や砂で型を作り、その中に液状に溶かしたアルミを流し込み、冷えた後に型を壊して本体を取り出す。型代が80万位かかるが、本体自体の費用は約8万円くらい。ただし、公差(図面と実物の寸法のズレ)は0.3mm程度。量産向き。
「削りだし(切削)」はアルミのブロックを切削マシン(マシニングセンタと呼ぶ)で一つづつ削り出す。仕上がりはピカイチで、接合面もなし。公差も1/1,000mmと神業レベル。金型不要。しかし削りだし価格が異常に高い。。。
②CAD図面が絶対的に必要。
③世界に名だたる大田区の工場はクソだ!
と言う訳で、初っ端からモノづくりの壁にぶち当たりました。
しかし立ち止まるわけにも行かないので、
今後の順序としては、アルミの製法を決めて、その後、それに合わせたCAD図面を作製する。
「世界で一番美しいブリーフケースを創る」と掲げたので、妥協は許されない。
なので、アルミフレームの加工法は3択ではなく、1択。
「アルミ削り出し」で決定。(恐らくこの時点で世界初)
次にCAD図面。
WebでフリーCADソフトをダウンロードして、アマゾンでそのCADソフトの初心者用解説本を購入し、翌日配達。よし、やるぞ!
・・・。
・・・。
・・・・・・・・。
まったくわからん!
CADを舐めていた。
よくよく考えてみれば、CADオペレーターという職種が存在するくらいの専門職の分野である。
それでも2ヶ月程、日夜PCの前でCADと格闘したが、四角い弁当箱がかけるようになった程度。まったく使い物にならない。
・・・・こんなことでは、オリンピックが来てしまう。。
時間のムダだ。
やめた やめた ヤメた!
専門家を探して依頼しよう。
なぜすぐにそこに行かなかったのだろう。
そもそもなんでも自分でやろうとする癖がいけない。
2ヶ月も無駄にしてしまったじゃないか。
諦めてGoogle先生にたずねてみる。
「CAD 設計 受託」 リターン!
結論から言うと、いくつかヒットはするにはするけど、純粋な設計のみの受託はヒットせず、主に加工工場が「図面から作製可能ですよ」というページにヒットする。
しかし、これでは、図面を作製してもらったら、その工場で加工をしなければならなく、そもそもアルミ切削工場に至ってはその図面作製サービスがヒットしない。
ここでもモノづくりの壁にぶち当たった。
(いったい誰がどこで図面を書いてくれるのだろう・・・・)
とは言え、ここで止まってはいられないので、CAD図面を書いてくれるところを探すのと同時進行で別のパーツの製作を考える。
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開閉ノブ(ロックノブ)だ。
アルミ製の鞄というと、一般的にはゼロハリバートンやリモアを思い出す。
または機材ケースやカメラケースなど。
これらの鞄のフタとケースを留めるギアは、一般的には引っ掛けて留めるラッチやアタッシェケースなどボタンを押して開閉するプッシュラッチが多い。
しかし、このラッチ、どうも美しくない。
それ自体がゴツイし、作動させる手の動作も美しくない。
(何か画期的な開閉ボタン?はないものだろうか・・・・)
百貨店の鞄売り場をリサーチしても、浅草橋の問屋街をリサーチしてもノーアイデア。
(このままだとノーアイデアのまま時間だけが過ぎていくなぁ。。まさにNOマネーでフィニッシュだ。)
そんなある日、気晴らしに新しく発売されたガンプラを物色に秋葉原に訪れたときのこと。
高級オーディオが陳列されているShow roomを見つけ、何気に入ってみた。
アンプなどが恐ろしい値段を掲げている。
に、250万!?
ん〜、数万円のアンプと何が違うのか全くわからないが、別なところに目が行った。
ボリュームノブ。
恐らくアルミを削り出して作られたそのノブは、綺麗なアルマイト処理がされており、
ノブのトップには、iPhone5にあったようなダイアモンドカットが施されている。
光の当たり加減でキラキラと美しい輝きを放つ。
Audio Design より引用
!
これをブリーフケースの開閉スイッチに使えないだろうか?
ここは幸いにも秋葉原。
すぐにShow roomを飛び出し、電子部品の秋月電子へ。
このノブの内部がどうなっているのか全くわからないが、店員さんに聞いてみたところ
恐らくこれだろうと。
ロータリーエンコーダというらしい。
(エレキギターのボリュームノブもこれらしいです)
触ってみると、たしかにオーディオのボリュームノブのような、少し抵抗のかかった回転をする。
早速この突起に取り付けるノブを探してみるが、やはり既製品はダサい。
(これも自作するしかないか。。。)
このノブをアルミのフレームにどうやって取り付けて、一体どのような機構で開閉させるのかは、まだ全く考えていないのだが、とりあえずビジュアル的なものを優先してデザインをすると、これ以外に考えられない。
とりあえず回転式の開閉機構ということだけで十分。
早速、ロータリーエンコーダーを数個購入してみる。
さて、この時点でノブに対して考えなくてはいけないことは以下。
①回したときの微妙な抵抗はどうやって作るのか?
この抵抗感が大事で、「回して、ロックする感」が生まれると思う。
(普通に突起にベアリングをかましただけだと、何の抵抗もなくクルクル回るだけ)
②実際のロックノブを作ってくれる工場を探す。
③どうやってこのノブを使って鞄を開閉させる機構を作るのか。
③は考察に時間がかかりそうなので、後回しにします。
まずは実際にノブを取り付けたイメージを確認するために、書いたイラストをベースに紙の実物大のモックを作ることにしました。
材料は東急ハンズで調達し、約4時間で製作。
アルミのフレームの実物イメージとしてはこんなもんでしょ。
イラストよりは良しとしましょう。
さて、
①のノブの回転時の抵抗感の検証に関して、これは単純。
真っ二つにぶった切るしかない。
なので、クランプ(万力)にロータリーエンコーダを固定して、サンダーで縦に切れ目を入れます。
写真は撮り忘れましたが、真っ二つにしてわかったこと。
なんてことはなく、ベースと軸にほぼ隙間がなく、そこにグリス(粘着性のある滑降油)が塗ってあるだけでした(笑) はいはい。。
②ロックノブを切削してくれる工場を探します。
Googleで「ボリュームノブ 切削」で検索すると幾つかヒットしました。
その中で、HPでの製品紹介ページでとてもクオリティの高いノブを製作している会社、
畑精密工業にアポを取って、数日後に訪問しました。
そこの会社の社長兼職人の方はとても気さくで若い方です。
(・・・大田区とはちがうな。。)
その場でその工場が製作しているノブを見せてもらいました。
畑精密工業HPより引用
美しい! の一言です。
まさに秋葉原のShow roomでみた高級オーディオのボリュームノブです。
たどり着きましたね(笑)
私「それで、試作を作りたいのですが、CAD図面がないんですよ。大丈夫ですか?」
畑「これくらいだったら図面は私が書きますから大丈夫ですよ。サイズだけ指定してください。」
WooooooW!
ほら!
私「それで、ついでと言っては何ですが、この鞄のフレーム、アルミの削りだしで作りたいんですが、この図面もないんですよ。図面を書いてくれる方とかいらっしゃいますか?」
畑「う〜ん、これは結構形が複雑で、たくさんのR(曲線)で構成されていますよね。これ、鞄としてみたら形はシンプルですけど、図面は結構難しいと思いますよ。」
私「うぅ・・・。(会心の一撃はでず、やはり痛恨の一撃だ。。。)
畑「(私が持参したモックをしばらく見ながら)
・・・これ、もしかしたら三次元測定で図面化出来るかもしれませんよ。」
三次元測定!?
なんでも三次元測定(リバースとも言う)とは、「現物はあるけど図面がない」というような場合に、それを360度スキャニングして図面化するようなものらしいです。
まさにオリエンテーリングのような展開で、行く先々で次のヒントをもらっています(笑)
早速社長さんにお礼をいい、工場を後にし、近くにあったファミレスでPCを広げます。
「三次元測定 東京」 リターン!
ありました!
それも会社から30分以内の距離で。
早速その場で電話をし、3日後にアポを取りました。
CAD図面作製への道のりになるか!?
CADに関して世界一わかりやすい解説はこちら
( 後日談ですが、私のようなCAD作成に悩んでいる人もたくさんいるだろうと思い、
CAD図面作成の専門会社を立ち上げました。気になる値段も時間単価50%OFFです。
もしよろしければ、こちらもご参考ください。
※実際に出来上がった鞄はこちらから確認できます。
世界一美しい鞄を創る③へ つづく
世界一美しい鞄を創る① 大田区の町工場へ
コチラの記事は以下のリンクで内容をリニューアルして公開しています。
ぜひ、こちらからどうぞ!
BLAU Design Complex Inc Creative Directorの橋本荘一朗です。
ぼくは「見たことのないモノ」「そして、美しく機能的であるモノ」をデザインして、製品化しています。
言葉にするととてもシンプルですが、実は
とても大変なんです。
だって、僕も見たこと無いモノですから。。。
僕はいつもモノをデザインする時、モチーフを「否定」するところから入ります。
どういうことかと言うと
「今まで深く考えたことはないけれど、よく見たらダサくね?」
というところから始まります。
例えば僕の最初のプロダクトのBrief caseです。
ある時、東京のオフィス街を歩いていて少し気になったことがありました。
そこにはたくさんのビジネスマンがいます。
ヘアスタイルもイマドキの2ブロックでクール。
スーツも流行りのスタイルで細身で素敵。
靴もピカピカで、時計はロレックス。
きっと仕事も出来る彼らは、とってもおしゃれに気を使っています。
しかし。。。
何か違和感がありました。
そう、彼らが持っている鞄です。
ナイロン製のマチの厚い3Wayビジネスバッグ。
取手が汚れたLVなどのブリーフケース。
などなど。。
「よく見たらダサくね?」
だって、どう見ても僕からしたら素敵なスーツの袖から伸びた、高級機械式の時計をはめた手に持つ鞄が「ナイロンの3Wayバッグ」は合わないんですよ。
「だったら、僕が世界で一番美しいブリーフケースを作ってみよう」
と思ったのがデザインのキッカケです。
これが「否定」から入るイメージです。
さて。
最初は素材の考え方から始めました。
男性の好きな素材って・・・・・?
恐らく「金属」と「革」と「木」じゃないだろうか。。
(ナイロンではないはず)
例えばイギリスの高級車の内装には、これらの素材が惜しみもなく使われています。
機械式時計もそうです。
ということで、素材は決まりました。
さてここからがデザインです。
僕はこれまでデザインの勉強はしたことも、鞄も作ったことはありませんが、美しいものにはとても興味がありました。今考えれば、むしろ一般的なデザインの基礎や鞄の製法をしらなかったからこそ、BLAU Brief caseのようなモノが作れたのではないかと思います。
(でもこのことが後から現実を浴びせられるのですが。。)
まず、鞄のフレームをアルミでつくって、その表面に本皮を施したら、とてもCoolな鞄に仕上がるんじゃないか?
まずはスケッチブックに何度もイラストをスケッチしました。
その後、イラストレーターでスケッチを書き起こしました。
なかなか美しいじゃない!
さて。
次の段階は、試作に向けた準備です。
ん?
フレームをアルミで作る? どうやって? どこで?
まぁ、僕は金属加工もしたことがないので、とりあえずWebで調べた
「大田区産業プラザ Pio」に向かいます。
ここは、大田区の産業に関する様々な情報を紹介してもらえます。
NASAからも精密金属加工のオーダーが来る大田区の町工場を紹介してもらえれば、どこか良い工場に巡り会えるだろう。
京急蒲田駅からすぐのところにある
大田区産業プラザ Pioの2F、産業情報コーナーで
私「すみません、初めて伺ったのですがこのような製品を作ってくれるような町工場をご紹介していただくことは可能でしょうか?」
Pio「あ〜、変わった形だねぇ。。これ、鞄? 今大田区でも、こうゆうものを試作してくれるところは少ないんだけど・・・・、やってくれそうなのは、◯◯金属と◯◯ケースさんかな?ここの社長は男気あるから。」
と言って、住所と簡単な地図をいただきました。
ドラクエで言うと宝の地図ゲットです。滑り出しは順調です。
まるで「路線バスの旅」のような感じで、初めて乗るバスに揺られながら、工場に向かいがてら、こんなことを考えていました。
(妄想)
私「Pioの紹介で初めて伺いました。(中略)
このような鞄を作ろうと思っているんですが、ご協力いただけませんか?」
工場「なんだか珍しい鞄だねぇ。ウチは普段は◯◯を作っているんだけど、
新しいモノづくりに挑戦しようと思っていたところなんだよ。どうせ、他じゃ断られたんだろ(笑)? しょうがねぇなぁ、まぁやってみないとわからねぇけど、やってやるよ!」
Wow ビバ 町工場!
リアル「ガイアの夜明け」だ!
となるはずでした。
そりゃそうでしょう。Pioの紹介ですし。不況ですし。
モノづくり大国ですし。
しかし、
現実は。。。。(涙)
世界一美しい鞄を創る②へ つづく