BLAU DESIGN’s blog

前代未聞のモノを創る。モノづくり記録です。

世界一美しい鞄を創る⑦ 限界まで軽量化を考える

前回までの記事はこちら

blau.hatenablog.com

 

さて、中国大連で作ったアルミフレームのサンプル。

 

 

大連空港でビールを飲みながら、どうやったら軽量化ができるか、

まるで人生に思い詰めた人のように、視線をアルミフレームから外さず約30分。。

 

その間、4人の外国人に尋ねられたこと。

 

 

 

What is this?  case? bag?   I`ve never seem like this.

(これはナンデスか? ケースですか? バッグですか? ミタコトアリマセン。」

 

 

 

そうだろう、そうだろう。

 

僕だって見たこと無いもん。

(とりあえず、注目されることは分かったが、それよりも手に持ってもらえることを考えないと。。    軽量化だ。)

 

 

 

2.5kgのモノを1kg以下にするには単純に50%以上、さらにドコかを削らなければならない。

 

 

 

そもそもそんなこと可能なんだろうか。。。

 

 

 

 

大連から帰国後、図面を書いてくれたE金属の田沼さんのところへ現物を持って訪ねます。

 

 

「これこれこういうわけで、一応図面通りのものは出来上がったんですが、とにかく重いんですよ。これに革を張って内装を付けたらゆうに4kg弱になりそうなんですよ。

なので、現状の形のまま、薄く出来るところは極限まで薄くしたいんです。」

 

 

完成品の鞄の目標重量は2,000g以下

 

 

まず、鞄のフチの部分(一般的な鞄で言うマチの部分)の厚みが5mmもあったので、

それを思い切って1mmにしてCAD図面化してみる。

 

 

それを一部分のみ3Dプリンタで出力し、実際の厚みを手で触って感触を確かめてみることに。

 

出来上がった3Dプリンタの部分サンプルを触ってみると、もう紙のように薄い。

 

「おお、いいんじゃない!?」と触っていたら、

 

 

 

 

 

すぐに割れた。

 

 

 

 

 

これ、仮にアルミで切削したとしても、何かの衝撃があれば割れるか、凹むよな。。。

 

 

 

 

色々と検証した結果。

5mmのフチはどうやっても3mmまでしか削り込めない。

 

さらに、鞄の表裏が一番大きな面積なので、その部分をなんとかしたい。

 

そこで、その面積部分の内側にリブ(格子状の骨組みのような形)を作り、リブに囲まれた箇所を極限まで薄くしてみる。

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リブがあるので、割れたりはしないはず。

その他、細かな部分を出来る範囲で少しでも薄くし、図面を引き直した。

 

 

それを再度中国に送り、更に2週間後、再び大連に。

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(・・・・タクシー、まーた英語が通じねぇ。)

 

 

大連のその工場で作ってもらった

セカンドサンプルは、確かに軽くなっていた。

 

フレーム自体の合成も、いろいろな方向に手で曲げてみてもしなりもしない。

 

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*1

 

しかし、未だその重量

 

 

1.6kg。  1,600g。

 

 

少し不満は残るが、切削ではこれが限界かも知れない。

展示会までの時間がもう無いので、5つのセカンドサンプルを持って帰国することに。

 

 

あと、600g。 たかだか600g。

 

 

なんとかならないだろうか。。

 

 

まさに、計量前のボクサーのような気分だった。

 

 

 

 

 

 

それは、

自宅のテーブルの上に出来上がったアルミフレームのセカンドサンプルを置いて、

その上に東急ハンズで買ってきた革を合わせて完成スタイルをイメージしていた時。

 

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ん?

 

ん?

 

 

革をかぶせる部分(鞄の表面の一番面積が大きいところ)は、

革を貼ったら外から見えないじゃないか。。

 

そうだよ。

見えないよ!

 

 

開けられるだけ、穴を開けよう!

 

 

そうすれば、もしかしたら600gだったら開けられるかもしれない。

 

 

で、どうやって開けるか?

 

流石に金属のDIYじゃ無理だろう・・・・。

 

 

町工場に頼んだら、また図面だなんだかんだと時間ばっかりかかることは

目に見えている。

 

 

そうだ。

どっかの工場で、穴を開ける機械を貸してくれないだろうか。。。

 

 

いや、無理を言ってでも使わせてもらおう!

(ちなみに、この時点ではTech shopなどの共同加工場は開業していません)

 

 

Google先生で聞いてみる。

 

 

が、あったりまえかもしれないが、

金属加工ド素人に大事な機械を貸してくれるところなんて、ありゃしない。

 

 

でも、それしか無い。

 

 

探しに探して、寿々つなぎのようなネットサーフィンをしていると、

とあるページにたどり着いた。

 

 

メタルDIY

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metaldiy.net

 

 

なんと、横浜にある精密金属加工の工場が、一部の工作機械を平日の18時以降であれば、1時間あたり2,000円で貸してくれるとのこと。

もちろん、そこには「ボール盤」と言われる金属に穴を開ける機械が3つもある。

 

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メタルDIYのHPより引用

 

 

キター(^o^)

 

 

私にとってはメタルスライムよりありがたい

 

 

早速メールで加工内容を記載し問い合わせしてみると、

その工場の社長からとても親切な返信が帰ってきた。

 

 

僕の鞄の場合、軽量化のために大きな穴をいくつも開ける必要があるが、

一般的なその工場には直径10mmくらいまでのドリルしか無いそうだが、

僕の希望する40mmの穴を開けるには「こんなドリルが必要だよ」とわざわざAmazonのページのURLを添付して送ってきてくれた。

 

 

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早速アマゾンでそのドリルを購入し、メタルDIYへ。

メタルDIYとは株式会社関東精密

が主催するワークショップのようなスペースである。

 

笑顔で迎えてくれた杉田社長は大柄な体格にもかかわらず笑顔が可愛いおじさんです。

 

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セカンドサンプルを彼に見せ、希望する加工内容を伝えたところ、

 

「うわぁ、すごいですね。本当は我々みたいな金属加工屋がこういったことを企画しなきゃいけないんですけど、出来ないんですよね。。

いやぁ、しかし凄い。考えることは出来ても

実際に削りだしで作ってしまうことが凄い!

 

 

 

あはは。ここまで大変だったんですけどね。。。。ほんとに。。

 

 

 

そして、今節丁寧に、ボール盤の使い方を1から教えてくれました。

 

もともと手先は器用な方なので、すぐに使い方を覚え、すくすく穴を開けていきます。

 

 

そして穴だらけのフレームが出来上がりました。

それがこちら。

 

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なんか、ゼロ戦のフレームみたいになりました(笑)

 

実際の製品版は下の写真。(更に軽量化しています。)

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 素材を97%近く削っちゃいました。

 

削りカスはリサイクルです。

 

 

え?

 

そんなにまでして削りだしにこだわるのかって?

 

 

はい。

 

削り出すことによって、フレームに一切のつなぎ目がなくなり、ネジやリベットも必要無くなるんですよ。

 

 

さらに、一体型のシェルなので、薄くて軽いのに、合成が高いのです。

 

 

 

 

 

この時すでに1月下旬近く。

 

間に合うのか?

 

 

やれんのか?

 

 

完成品はこちら

 

www.blau.tokyo

 

 

 

世界一美しい鞄を創る⑧へつづく

 

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*1:上の写真はリブの間にウレタンを敷き詰めたところ