BLAU DESIGN’s blog

前代未聞のモノを創る。モノづくり記録です。

世界一美しい鞄を創る② 死闘 3D CAD図面

さて、前回はアルミフレームで鞄を作るため、大田区産業プラザ Pioの紹介で2つの町工場に向かうまでを書きました。

 

blau.hatenablog.com

 

 

最初に訪れた◯◯金属、そして◯◯ケース、僕が書いたイラストを見せました。

 

 

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どちらも加工場の横に小さな事務所がある町工場です。

 

 

「(挨拶中略)実はこういうモノを加工していただきたいんですが。。」

 

 

工場「・・・・これは鞄? 。」

 

 

「はい、フレームの部分がアルミで出来ているんですよ。」

 

 

工場「板金で作るの?」

 

 

ば、板金? (いかん、製造方法をよく理解していないぞ。。)

・・・、まだ確定はしていないのですが、そのあたりも含めて勉強不足なので教えていただけると助かるのですが。」

 

 

工場「とにかく、うちでは無理だね。こんなのやったことねぇからさ。

だけどさ、イラストでイメージは解ったけど、図面はあるの?」

 

 

「図面ですか? 要するにこのイラストのそれぞれのところに寸法が入ってれば良いんでしょうか?」

 

工場「いや。CAD図面。工場はCAD図面がないと作れないよ。」

 

 

(CAD図面?)・・・・ですよね。。。出直してきます。」

 

 

 判を押したように、2つの工場の返答は同じです。

 

 

 

 

まるで競馬で大負けしたような姿勢でバス停に向かいました。

 

 

 

今回のことで、分かったことが3つ。

 

①単にアルミでフレームを作ると言ってもその方法を決めなければ、そもそも加工工場が違ってくる。金属、特にアルミの加工では「板金」と「鋳造(鍛造)」と「削りだし」がある。

 

「板金」はアルミの板を手や機械で曲げて形を作り、接合面はネジやリベットで留める。費用は比較的安めだが、個体差が若干生じる。

 

「鋳造(鍛造)」は、石膏や砂で型を作り、その中に液状に溶かしたアルミを流し込み、冷えた後に型を壊して本体を取り出す。型代が80万位かかるが、本体自体の費用は約8万円くらい。ただし、公差(図面と実物の寸法のズレ)は0.3mm程度。量産向き。

 

「削りだし(切削)」はアルミのブロックを切削マシン(マシニングセンタと呼ぶ)で一つづつ削り出す。仕上がりはピカイチで、接合面もなし。公差も1/1,000mmと神業レベル。金型不要。しかし削りだし価格が異常に高い。。。

 

 

 

②CAD図面が絶対的に必要。

 

③世界に名だたる大田区の工場はクソだ!

 

 

と言う訳で、初っ端からモノづくりの壁にぶち当たりました。

 

 

 しかし立ち止まるわけにも行かないので、

今後の順序としては、アルミの製法を決めて、その後、それに合わせたCAD図面を作製する。

 

 

 

「世界で一番美しいブリーフケースを創る」と掲げたので、妥協は許されない。

なので、アルミフレームの加工法は3択ではなく、1択。 

 

 

「アルミ削り出し」で決定。(恐らくこの時点で世界初)

 

 

次にCAD図面。

 

WebでフリーCADソフトをダウンロードして、アマゾンでそのCADソフトの初心者用解説本を購入し、翌日配達。よし、やるぞ!

 

 

 

 

・・・。

 

 

・・・。

 

 

 

 

・・・・・・・・。

 

 

 

まったくわからん!

 

 

CADを舐めていた。

 

 

よくよく考えてみれば、CADオペレーターという職種が存在するくらいの専門職の分野である。

 

それでも2ヶ月程、日夜PCの前でCADと格闘したが、四角い弁当箱がかけるようになった程度。まったく使い物にならない。

 

 

・・・・こんなことでは、オリンピックが来てしまう。。

時間のムダだ。

 

 

やめた  やめた  ヤメた!

 

 

専門家を探して依頼しよう。

なぜすぐにそこに行かなかったのだろう。

そもそもなんでも自分でやろうとする癖がいけない。

2ヶ月も無駄にしてしまったじゃないか。

 

 

諦めてGoogle先生にたずねてみる。

 

「CAD 設計 受託」 リターン!

 

 

結論から言うと、いくつかヒットはするにはするけど、純粋な設計のみの受託はヒットせず、主に加工工場が「図面から作製可能ですよ」というページにヒットする。

 

しかし、これでは、図面を作製してもらったら、その工場で加工をしなければならなく、そもそもアルミ切削工場に至ってはその図面作製サービスがヒットしない。

 

 

ここでもモノづくりの壁にぶち当たった。

 

 

(いったい誰がどこで図面を書いてくれるのだろう・・・・)

 

 

とは言え、ここで止まってはいられないので、CAD図面を書いてくれるところを探すのと同時進行で別のパーツの製作を考える。

 

 

 

 

開閉ノブ(ロックノブ)だ

 

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アルミ製の鞄というと、一般的にはゼロハリバートンリモアを思い出す。

または機材ケースやカメラケースなど。

 

これらの鞄のフタとケースを留めるギアは、一般的には引っ掛けて留めるラッチやアタッシェケースなどボタンを押して開閉するプッシュラッチが多い。

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しかし、このラッチ、どうも美しくない。

それ自体がゴツイし、作動させる手の動作も美しくない。

 

(何か画期的な開閉ボタン?はないものだろうか・・・・)

 

 

百貨店の鞄売り場をリサーチしても、浅草橋の問屋街をリサーチしてもノーアイデア

 

数日Googleで検索しても、ノーアイデア

 

(このままだとノーアイデアのまま時間だけが過ぎていくなぁ。。まさにNOマネーでフィニッシュだ。)

 

 

 

 

そんなある日、気晴らしに新しく発売されたガンプラを物色に秋葉原に訪れたときのこと。

 

 

高級オーディオが陳列されているShow roomを見つけ、何気に入ってみた。

 

アンプなどが恐ろしい値段を掲げている。

 

 

に、250万!?

 

 

ん〜、数万円のアンプと何が違うのか全くわからないが、別なところに目が行った。

 

 

 

ボリュームノブ。

 

恐らくアルミを削り出して作られたそのノブは、綺麗なアルマイト処理がされており、

ノブのトップには、iPhone5にあったようなダイアモンドカットが施されている。

 

光の当たり加減でキラキラと美しい輝きを放つ。

 

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Audio Design より引用

 

 

これをブリーフケースの開閉スイッチに使えないだろうか?

 

 

ここは幸いにも秋葉原

 

すぐにShow roomを飛び出し、電子部品の秋月電子へ。

 

 

このノブの内部がどうなっているのか全くわからないが、店員さんに聞いてみたところ

恐らくこれだろうと。

 

 

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ロータリーエンコーダというらしい。

エレキギターのボリュームノブもこれらしいです)

 

触ってみると、たしかにオーディオのボリュームノブのような、少し抵抗のかかった回転をする。

 

早速この突起に取り付けるノブを探してみるが、やはり既製品はダサい。

(これも自作するしかないか。。。)

 

 

このノブをアルミのフレームにどうやって取り付けて、一体どのような機構で開閉させるのかは、まだ全く考えていないのだが、とりあえずビジュアル的なものを優先してデザインをすると、これ以外に考えられない。

 

とりあえず回転式の開閉機構ということだけで十分。

 

早速、ロータリーエンコーダーを数個購入してみる。

 

 

 さて、この時点でノブに対して考えなくてはいけないことは以下。

 

 

 

①回したときの微妙な抵抗はどうやって作るのか?

 この抵抗感が大事で、「回して、ロックする感」が生まれると思う。

 (普通に突起にベアリングをかましただけだと、何の抵抗もなくクルクル回るだけ)

 

 

②実際のロックノブを作ってくれる工場を探す。

 

 

③どうやってこのノブを使って鞄を開閉させる機構を作るのか。

 

 

 

 

③は考察に時間がかかりそうなので、後回しにします。

 

 

 

まずは実際にノブを取り付けたイメージを確認するために、書いたイラストをベースに紙の実物大のモックを作ることにしました。

材料は東急ハンズで調達し、約4時間で製作。

 

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アルミのフレームの実物イメージとしてはこんなもんでしょ。

イラストよりは良しとしましょう。

 

 

さて、

①のノブの回転時の抵抗感の検証に関して、これは単純。

 

真っ二つにぶった切るしかない。

なので、クランプ(万力)にロータリーエンコーダを固定して、サンダーで縦に切れ目を入れます。

 

写真は撮り忘れましたが、真っ二つにしてわかったこと。

 

なんてことはなく、ベースと軸にほぼ隙間がなく、そこにグリス(粘着性のある滑降油)が塗ってあるだけでした(笑) はいはい。。

 

 

 

②ロックノブを切削してくれる工場を探します。

Googleで「ボリュームノブ 切削」で検索すると幾つかヒットしました。

 

 

その中で、HPでの製品紹介ページでとてもクオリティの高いノブを製作している会社、

畑精密工業にアポを取って、数日後に訪問しました。

 

 

 

そこの会社の社長兼職人の方はとても気さくで若い方です。

(・・・大田区とはちがうな。。)

 

その場でその工場が製作しているノブを見せてもらいました。

 

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 畑精密工業HPより引用

 

美しい!  の一言です。

 

 

まさに秋葉原のShow roomでみた高級オーディオのボリュームノブです。

 

たどり着きましたね(笑)

 

 

「それで、試作を作りたいのですが、CAD図面がないんですよ。大丈夫ですか?」

 

 

「これくらいだったら図面は私が書きますから大丈夫ですよ。サイズだけ指定してください。」

 

 

WooooooW!

 

 

ほら!

 

「それで、ついでと言っては何ですが、この鞄のフレーム、アルミの削りだしで作りたいんですが、この図面もないんですよ。図面を書いてくれる方とかいらっしゃいますか?」

 

 

「う〜ん、これは結構形が複雑で、たくさんのR(曲線)で構成されていますよね。これ、鞄としてみたら形はシンプルですけど、図面は結構難しいと思いますよ。」

 

 

「うぅ・・・。(会心の一撃はでず、やはり痛恨の一撃だ。。。)

 

 

「(私が持参したモックをしばらく見ながら)

・・・これ、もしかしたら三次元測定で図面化出来るかもしれませんよ。」

 

 

三次元測定!?

 

 

なんでも三次元測定(リバースとも言う)とは、「現物はあるけど図面がない」というような場合に、それを360度スキャニングして図面化するようなものらしいです。

 

 

まさにオリエンテーリングのような展開で、行く先々で次のヒントをもらっています(笑)

 

早速社長さんにお礼をいい、工場を後にし、近くにあったファミレスでPCを広げます。

 

 

「三次元測定 東京」 リターン!

 

 

ありました!

それも会社から30分以内の距離で。

 

早速その場で電話をし、3日後にアポを取りました。

 

 

CAD図面作製への道のりになるか!?

 

 

※実際に出来上がった鞄はこちらから確認できます。

www.blau.tokyo

 

 

 

世界一美しい鞄を創る③へ つづく

 

 

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