BLAU DESIGN’s blog

前代未聞のモノを創る。モノづくり記録です。

世界一美しい鞄を創る④ ロック機構の迷走

コチラの記事は以下のリンクで内容をリニューアルして公開しています。
ぜひこちらからどうぞ!
 

strange-life.me

 

 

前回までの記事はこちら

blau.hatenablog.com

 

さて、図面作製の間に、肝心なロック機構を考えてみよう。

これがないと鞄は閉まらない。

 

高級オーディオのVolumeノブのような、ビジュアル面だけを先に考えてしまっていて、肝心の開閉の仕組みを全く考えていない。

 

おしゃれに着飾った知識ゼロのノータリン。

 

単純に『円柱が回るから、内側に鍵みたいなものを付けて、回して反対側に引っ掛ける感じ』くらいにしか考えていなかった。

 

イメージすると、右手の人差指の第一第二関節を曲げて、手首をくるっと回すようなイメージです。

 

円柱型のノブの動きからして、基本的にそれ位のものだろうと。

 

ただ、これも機械設計になるので、どうせ「図面」が必要になる。

加工方法は。。。。板金かな?

 

さっそくGoogle先生に「関東 板金 精密 試作」等で検索してみます。

 

幾つかヒットする中から、比較的近い横浜の港北地区にある板金工場に連絡をして

とりあえず数日後にアポを取ります。

 

 

その工場へは車で1時間弱で行くことができました。

受付で名を告げて、ご担当者をお待ちします。

 

 

しばらくして専務という方と企画長?というような肩書の方が机の向かいに座りました。

 

 

 

「はじめまして。実は◯◯◯◯(中略:アルミ製フレームの鞄の概要を話します)

それで、鞄に取り付けるロック機構の設計をお願いしたいのですが、業務の範疇でしょうか?」

 

工場「まぁ、大丈夫だと思います。ただ、ゼロからの構想設計ですので、少し時間はかかると思います。」

 

 

??

 

 

(・・・・たかだか左右に回転する鍵のシステムの設計にそんなにかかるのだろうか?)

 

 

「なる早でやっていただけると助かります。別のところで図面をお願いしていまして、最終的にはその図面にガッチャンコさせていのです。

それで、1つリクエストがあって、ノブを回したときに、何ていうんでしょうか、すこし抵抗感を出すというか、ただクルクル回るのでは開閉感が無いと思うんですよ。そこの方法論はまだわからないのですが。。」

 

 

工場「そうですね、分かりました。少しお時間をください。」

 

 

とりあえず、今日のところはOkayかな・・・?

 

 

秋葉原秋月電子で購入した見本となる「ロータリーエンコーダ」と安物のボリュームノブを渡して帰りました。

 

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その後、担当者とメールのやり取りをするも、遅い遅い。

 

 

ほんっっっとに遅い(怒)。

 

 

忙しいのは十分わかるんだけど、メールの返信が平均3日後というのは、

このご時世では遅すぎやしませんかね?◯◯さん。

 

 

そんなこんなで、

「試作が出来ました」と連絡があったのは、最初に訪れた日から約75日後。

(ちなみにそこの工場のHPには「最短解決」というワードがありました。)

 

さて、それはそれとして、ようやく出来たロック機構の試作の確認に胸を踊らせながら車のハンドルを握ります。

 

 

 

そして、テーブルに出てきたのがこちら。

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ロックノブが回ると、下の針金のようなもの抵抗して「回した感」が出るらしい。

いわゆる「線バネ」と業界では言うらしいのですが・・・。

 

 

抵抗感が全くありません。

 

 

逆に、針金のこすれる感が不快です。

 

 

 

「これ、線バネという着眼点はとてもいいと思うんですが、ちょっと感覚がイマイチなんですよね。。もう少しなんとかなりませんかね?」

 

 

工場「う〜ん、私もそう思っていたんですよね。。」

 

 

思ってこれかい!

 

 

「この針金を別の形状のものに変更できますか?

それと、なんというか、オン・オフを感じるような『引っかかり感』というのがあるともっと嬉しいのですが。。たとえば、『ポッチ』のような引っ掛かりをつけるとか。。」

 

 

 

ということで、作り直しになりました。

 

 

試作2号機がこちら。

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 針金のこすれる感がまだ不快です。

 

 

 

 

 

そこから更に一ヶ月後、

 

「再度改良版の試作が出来ました」との連絡で再度来訪。

 

 

その試作がこちら。

 

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先月の針金の部分が薄いプレートになっています。

更にオン・オフの引っかかりをだすポッチが!

 

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「おぉ、なかなかいいじゃないですか!」

 

工場「考えましたよぉ〜(笑)」

 

実際にはこれらの小部品は四角のアルミ製ボックスに収めるて、鞄の内側にくっつけるらしい。

 

 

 

ノブを回した感じは、、、、(まぁ、悪くはない程度。)

 

 

 

ただ、実際に出来上がったものを何度も回して触って、鞄に取り付けたときのアングルや意匠的なものをイメージすると、、、

 

 

鍵の部分が鞄の下からニョキッと出てきてロックする。鞄が空いている状態でノブを回すと、鍵がニョキッと回転して出て来る。。。

 

 

ダサいくね?

 

 

いや、完全にダサい。ノブのビジュアル的なアイディアは斬新でも、肝心の機構自体が100年前の考え方だ。

 

 

 

 

これは、機構そのものを再考しなければならない。。。

 

ゼロから考えなければ。。。。

 

 

という焦燥感と同時にテーブルの上に見積が。。。。

 

 

(1)ロック機構 設計費 ¥240,000

(2)ロック機構 試作 2個 ¥278,000

 

 

合計(税込み)¥559,440 !

 

 

 

 

 

 

うぅ・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

モノづくりを始めようと思う皆さん。

 

 

試作をお願いする前に、可能であれば、ざっくりとした金額のイメージをいただくか、

予算をお伝えしましょう。

 

完成品はこちら

www.blau.tokyo

 

 

世界一美しい鞄を創る⑤へつづく。

 

 

 

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