世界一美しい鞄を創る⑤ デザインの神が降りた
コチラの記事は以下のリンクで内容をリニューアルして公開しています。
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前回までのロック機構から脱却して新しい機構を考えなくてはならなくなった。
前回までの記事はこちら
わかっていることは、
ボリュームノブのようなモノを回すことによって、フタが開閉する機構を考えること。
その際、人差し指の鍵のようなものが左右からニョキッと出て来るのはダサいのでNG。
さて、どうしたものか。
来る日も来る日も、右手をパチンコのハンドルを握るような形にして、手をくるくる回し機構をイメージしますが、どうしても人差し指の鍵がニョキッと出て来る仕組み以外、出てこない。
ここで一旦考えをゼロにしてみよう。
無。
ノブは円柱。
無・・・・・。
鍵以外・・・・。
いや、鍵というワードは考えちゃダメだ。
無。
ムム?
ムム?
ロックノブと繋がった円盤みたいなものが一緒にシンクロして回って、
反対側にある何かをキャッチして・・・。
ひらめきました。
当時のスケッチです。
スケッチを書いてE金属の田沼さんに図面化してもらいます。
初期の図面から数回改良を重ね、試作を重ね、出来たのがこいつです。
これは試作で、ロックプレートの裏側の写真です。
これを実際ロックが可動するのか、回した感はあるのか、確認するために
台座を作ります。
真ん中の穴に先程のプレートの芯を入れます。
上の写真ではわかりにくいのですが、穴の下に小さな鉄球が見えます。
このボールのしたにはバネが内蔵されていて、ボールは指で押すとボールはバネの伸縮で凹み、また上に戻ってきます。
これをプレートに引っ掛けることによって、ノブを回した感と開閉のオン・オフ感が出ます。
そして、プレートの表側の溝にフタ側に取り付けた超小型ベアリングが入り込み、
ロックされる仕組みです。
組み上げるとこんな感じになります。
回した感、最高!
たまらなく最高。
その日、踊る思いでこの試作を鞄に一人居酒屋で祝杯。
ビール片手に右手でノブを左右にカチャカチャ。
完全に電波系です。
で、製品版がこちら。
黒のアルマイト処理をし、表面にシルク印刷をし、そして周囲にダイヤモンドカットを施します。少しでも軽量化のために5つの穴を開けました。
本来は裏方のパーツですが、それも美しく。
イエイ!
完成した製品はこちら。
世界一美しい鞄を創る⑥へつづく。