世界一美しい鞄を創る③ ハンドルの造形
コチラの記事は以下のリンクで内容をリニューアルして公開しています。
ぜひこちらからどうぞ!
前回の記事はこちら
さて、三次元測定をしてCAD図面化という思わぬ情報をいただいてから3日後、
E金属という会社を訪れます。
受付で
「橋本と申します。13時に営業の田沼さんとお約束させていただいております。」
3階の会議室へ通され、暫し待ちます。
少しすすると、田沼さんが現れました。50代前半の気の良さそうなおじちゃんです。
電話でアポをとった経緯話しながら、持ち込んだ鞄の紙モックアップを机の上に広げます。
私「と言う訳で、このモックを三次元測定してCAD図面化することはできますか?」
田沼「(モックをしげしけと見ながら)・・・・」
私「難しそうですか?」
田沼「いえ、というより、このモックは手作りなので三次元測定しても、かなり修正が必要だと思います。いっそのことゼロベースで書いたほうが早いと思います。」
私「・・・誰がですか?」
田沼「・・・私がです。」
うっそ!
私「あれ、田沼さんって営業の方なんじゃないんですか?」
田沼「基本的には営業ですが、これくらいでしたら3D CADで描けると思いますよ」
ほんとかい!
たどり着きました。
とりあえず紙のモックを田沼さんに渡して数日後に連絡をいただくことになりました。
図面の問題はひとまず解決。
同時に
次はハンドルのデザインです。
ひとえにハンドルと言ってもいろんな種類はあるのですが、
概ねブリーフケースのハンドルデザインは似たり寄ったりです。
プラスチック成型だったり、革を巻いたものだったり。。
これにもこだわりたい。ハンドルも鞄の顔の1つでないかと考えます。
で、考えます。
これが、なかなかグッドなアイディアが浮かばないので、
とりあえず、東急ハンズに行って、紙粘土を20個程買ってきました。
これは、成人男性の手の握り型を採るためです。
実際に握る形を視覚的に理解すれば、その形状のベースも自ずと決まってくるのではないかと思ってのことです。
そこで、成人男性 約50人の握り型を取って、先日のE金属にて三次元測定をしました。そこでそれそれの重なり合う点を平均基準点として1つの握り型のデータを作りました。
さて、それにデザインを施します。
鞄はアルミのフレームに本皮を貼っていきます。
ハンドルも意匠的にそれをなぞっていったほうが良いのはわかっています。
いくつかデッサンを描いて、ベースを工作していきます。
コルクに巻いた革の上に、フィン状の金属をかぶせます。
この形が成人男性の握り型をモチーフにしたものです。
そして、最終的に完成したものがこちら。
上の写真はサンプル版。ネジ穴が空いています。
形状を更に美しくデザインします。
これもアルミのブロックから削りだしです。
上の写真は製品版。さらにスリットが深くなり、美しく交差しています。
我ながら美しく機能的に、そして独創的な形が生まれました。
これもアルミ削りだしです。
パズルのピースが埋まってきました。
残るは大物は
・ロック機構の構築
・革
・アルミ削り出し加工
というところでしょうか?
全てはE金属の田沼さんの図面マチ。。。。。
世界一美しい鞄を創る④ へ続く